福島第1原発での東電による凍土遮水壁も無為に終わる

東電の行った凍土遮水壁計画の破綻までの流れ

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出典:東京電力

東京電力(Tepco)は2011年3月11日に発生した、福島第一原子力発電所の事故後、原子力建屋内に流入する海水や雨水などの汚染水を防ぐため、試験施工を経て、凍結工法による陸側遮水壁(凍土遮水壁)の建設を行っていた。

本件に関して、東京電力は今年の4月には遮水壁の効果が表れている事を原子力規制委員会に報告していたが、5月の段階で遮水壁全体の1割の箇所で凍土化ができない問題が浮上していた。

7月の時点では、原子力損害賠償・廃炉等支援機構がこれまでの遮水壁計画から石棺化計画への変更を示唆している。結果的に凍土遮水壁は完全に無為に終わった。

これに対し、原子力規制委員会は痛烈に批判している。

凍土遮水壁計画とはどんなものだったのか

東電より凍土方式陸側遮水壁の説明動画

事故発生から、現在まで1日に400トンもの大量の水が1-4号機の原子炉建屋群で流れ込んでいる。また、原子炉冷却のための冷却水も注入せねばならず、これらの水が汚染水を生み出し続けている。
当初、東電はこうした問題を解決すべく凍土方式による陸側遮水壁計画を打ち出した。この計画に投入された公的資金は319億円にものぼる。また、事業の委託は、鹿島建設に委託していた。

主な計画手順はこうだ。

  1. 配管などの埋設物を避け(または貫通させ)、原子炉建屋群を取り囲むような形で一定間隔にパイプを埋め込む
  2. 埋設したパイプに摂氏30度まで冷やした冷却剤を循環させる
  3. 冷却したパイプが周囲の土壌を凍結させ、氷の壁を形成する。

こうすることで、建屋内への汚染水の流入を防ぐ壁を作る計画であった。

また、この陸側遮水壁計画は1960年代以降、あらゆる場面で用いられ、カナダのマッカーサーリバー鉱山やシガーレイク鉱山での実績などを主張している。

陸側遮水壁は耐震設計であり、非常電源によるバックアップシステムが存在するという。また従業員数は360人、彼らの安全は放射線を遮るタングステンベストの着用や敷地内の除染作業によって保障されているという。

なぜ失敗した。

最終的に東電の公式発表では、全体の99%は遮断できたが、残りの1%を遮断できず、そこから汚染水の問題を解決できなかったという。

東電は規制委員会との報告会においてもパイプの温度を低温かしたことに触れていたが、一部では摂氏に至らず7.5度以上のままで、凍結できない箇所があったという。また、場所によっては地形的な問題から、凍結できない箇所が複数あった。

これに関して、東京電力はセメント化することで問題を解決できると主張していたが、そんな根拠は見当たらなかった。

よって、この計画は全くの無意味な結果となった。

原子力規制員会は今回の件が全くの無為に終わったことで、新たなる汚染水解決策を見出す必要性があることを述べた。

東京電力のずさんな対応

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出典:YouTube「小野明所長ぶら下がり会見」

第一に疑問点として浮かび上がるのは事故後、遮水壁計画の試験施工を行っていた期間に確かな成果を得られていないにも関わらずなぜ計画を継続させたのか。

また、本件に関し、怒りを露わにしていた原子力規制委員会であるが、本当に彼らにも責任はなかったのであろうか。

原子力規委員会の活動目的と構成

出典:wikipedia「原子力規制委員会 (日本)」

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2011年の原発事故後に発足した原子力規制委員会はそもそも、なぜ作られたのか。

当初、原子力発電を推進していた資源エネルギー庁と規制を担当していた原子力安全・保安院が同じ経済産業省の中にあった(この時点で非常におかしな話ではあるが)。また、当初、規制対象の電力会社への天下りや原子力安全・保安院OBの規制行政への干渉問題などが発生していたため、環境省に外局として新設させたのが原子力規制委員会である。

【主な目的】

  • 国民の生命、健康及び財産の保護
  • 原子力利用における安全の確保を図る
  • 原子炉に関する規制に関すること、並びに国際約束に基づく保障措置の実施のための規制
  • 原子力の平和的利用の確保のための規制

最後の’’原子力の平和的利用の確保のため’’という一文は原子力を推進していく旨を含んでいるといえよう。

また、行政機関と原子力の癒着の分離として外局で発足された原子力委員会だが、非常に不思議なことに委員長の田中俊一は日本原子力研究所の理事も務めており、古くから、原子力開発を行ってきた人物である。

出典:wikipedia「田中俊一 (物理学者)」

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田中俊一

1967年、東北大学工学部原子核工学部を卒業

1992年に原子炉工学部にて遮蔽研究室の室長

1999年には東海研究所の副所長

2002年より東海研究所の所長

2004年、日本原子力研究所の副理事長に就任

2006年には、日本原子力学会の会長

上記の経歴から明らかだが、彼も完全に原子力機構出身者である。この人事起用が果たして公平・公正と言えるかは非常に疑問が残る。

国外情報筋との相違点

記事内でも述べた凍土遮水壁計画に関して、東電は国内外での施工実績を主張していたが、福島第一原発のような規模はこの施行技術が世界最大規模であるとみられていた。つまりは、前例がないということだ。
今年の2月頃には東電から、日々150トンの建屋への汚染水の流入を防いでいると述べている。

公的資金投入のこの計画が単にコストの無駄になってしまうのではという質問に、東電、事故対応委員、今井 俊博は”予測されるデータはあくまでシミュレーションに基づいており、その成果はまだ不明です。”と述べている。

不思議なことに、この今井 俊博という人物、海外のメディアでは結構名前が出てくるのだが、国内のメディアでは人物像はでてこない。

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廃炉・汚染水対策チーム会合/事務局会議 出席予定者名簿にのみ出席者として登録されているようだ。

また、鹿島建設の技術長、Abe Isaoは凍土遮水壁計画が2021年までに実行されると述べている。

まとめ

凍土遮水壁計画において、試験施工期間があったにもかかわらず、なぜ失敗を予測できなかったのか。国民の税金は319億円という無駄金のために注入されたとすれば、計画性がないといわざるを得ない。

また、今回の東京電力の計画もさることながら、それを監督する役割である原子力委員会やその他の機関が定期的に連携が取れ、事態の確認をしていたのであれば、防げたのではないか。本件に関して、319億円という公的資金に加えこれらの機関の創設やそれに伴う諸経費を合わせたのなら、費やした支出額を大幅に超える。

また、原子力委員会が置かれる六本木ファーストビルの賃料は月額で4400万円とも言われている。

これだけの税金を投入した割には短絡的で、無計画だったと言わざるを得ない。

   

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コメント

  1. 名無し太郎 より:

    今井は俺の同期だ。