加速するAIIBの成長と日米の孤立化

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出典:Bloomberg Markets

カナダ中国インフラ投資銀行(AIIB)への参加を表明した。

アジア開発銀行(ADB)を主導するアメリカを他所に、各国が中国の動きに協調姿勢を示している。

現在、なお米国並びに、我が国もAIIBへの参加に関し不参加を表明しているが、ここにきてAIIBの動きが急拡大している。

アジア投資開発をリードしたい米、中の思惑が激しくぶつかり合う。

不参加から一転、AIIB参加を表明したカナダ

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出典:LAUGHY「ジャスティン・トルドー」

先月8月末、習近平が主催を執り行うG-20サミットを前に、カナダがAIIBへの参加を表明した。

カナダ財務大臣ビル・モルノーは31日のAIIB代表、金立群(ジン・リーチュン)との対談の後で「カナダは北アメリカで最初の参加国となる」と発言。

中国は規制を続けていたカナダ主要輸出品目の一つセイヨウアブラナの輸入規制緩和を表明。セイヨウアブラナは食用油や動物飼料を生成する重要な商品だ。

現在では、生産量トップの中国に次いで、カナダが第2位の生産量をしめる。

また、中国共和党への外交アドバイザーを務める中国人民大学の教授、王義(ワン・イーウェイ)は今回のカナダの表明が中国の経済を促進し、「中国が世界で主要な役割を担う足がかりだ」と述べた。

また、6月にはオタワで行われた記者会見でカナダ人ジャーナリストがカナダ人記者、ケビン・ガラットとカナダ人書店経営者たちがスパイ容疑により拘留されていることについて人権問題ではないのかという質問を中国外交官王毅に行ったところ激しくこれに抗議した。

中国側は、「ジャスティン・トルドー首相率いるカナダ政府には合理的かつ、現実的な対応をしていただき、人権問題を主要議題に挙げなければ、中国とカナダ両国間の結びつきを強めていけるだろう」と述べる。

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ブリティッシュ・コロンビア州

カナダ不動産市場は現在、ブリティッシュコロンビア州のバンクーバー不動産市場で中国系不動産会社が猛威を振るっており、今回のAIIB参加により、中国系不動産会社に対し、税金を義務付けた。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)とアジア開発銀行(ADB)とは

アジアインフラ投資銀行(AIIB)

出典:wikipedia「アジアインフラ投資銀行」

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● 調印書へ署名

● 創設時のメンバー国

● 参加検討国

● 不参加表明国

中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)は2015年12月より習近平率いる中華人民共和国より発足された国際開発を目的とした金融機関。

AIIBは中国を中心とした、新たな経済圏を確立することを目的に、中国から中東、アフリカ諸国、ヨーロッパまでのシルクロード圏のインフラ拡張を行い、発展途上国を含めた多くの国と共に開発を行う事を理念とする。

また、資本金目標は1000億ドル(10兆円規模)。現時点で、すでに50%程度確保している。

現在までに多くの国がこのAIIBに参加を表明しており、すでにヨーロッパでは主要国、イギリス、ドイツ、イタリア、フランスや、アジアではシンガポール、インド、韓国など、世界各国で57か国も参加を表明している。

不参加表明国は以下の国々。

  • アメリカ
  • 日本
  • カナダ
  • 北朝鮮
  • 台湾
  • メキシコ
  • ベルギー
  • アイルランド
  • ギリシャ
  • アフガニスタン

そして今回、不参加表明していたカナダがついに参加を表明した。

別機関のアジア開発銀行(ADB)という非常に似通ったアジア金融機関が存在するが、果たしてなぜ、同じような特徴を持つ金融機関が2つも存在しなければならないのか。

そこには覇権を奪い合う米中の思惑がぶつかり合っている。

アジア開発銀行(ADB)

出典:wikipedia「アジア開発銀行」

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●加盟国

●不参加国

さて、上記のAIIBに対し、創設が1966年と大分前に創設されたはずのADBの詳細を見ていこう。

事業目的は開発途上国などに対する資金貸付と株式投資、並びに開発プロジェクトに準じた技術支援や助言業務。

毎年、約6000億円もの資金が融資されている。その出資比率は米国、日本がそれぞれ全体の15%ほどを出資し、主導する。従業員数も米、日が並んで100人ほど席を置く。
ADBの総資産額については公式で年次報告のみの計上な為、不透明。またその融資額等から日米が他国のあらゆる動きに対し拒否権を保有する。

ADBでの米国の思惑

さて、注目していただきたいのはADBの事業内容である開発に関する助言という項目だが。一体何の助言なのか。同時に拒否権を持つことによって、参加国の動きを完全に掌握できる権利を持つ。

また、日米共同と銘打ってはいるが、日本が独立した意見を持てる力があるのかは疑問だ。それは1945年以降のこの国の流れを見れば明白である。

また、ADBにはシルクロード圏という限定的な設定はなく、”アジア開発”と謳っているものの、中身はただの投資銀行なのではないか。

そもそも、なぜ、アジア開発銀行の主導権を米国が保有しているか考えれば、誰にでもわかること。要は、アジア圏の成長開発に伴う資金と、その他の国に対しての貸付金から資金を搾取したい米国の思惑がある。

もちろん、AIIBを主導する中国にも思惑があるはずだが、世界各国がADB→AIIBへの移行し始めている。

逆説的に考えれば、もしもADBに問題がなければ、AIIBへ移る必要などないのだ。

依然、我が国日本は米国と共に世界孤立化を驀進している。これまでお隣、韓国や、米国に協調していたカナダまでもがAIIBへ移っていく中で、一体日本はどこへ進むのか。

まとめ

さて、上記で8月末AIIB参加表明をしたカナダの概要について触れたが、この両国間のやりとりから、何が見えてくるのか。

カナダは米国の同盟国であり、この参加に関して米国は説得をしていた。それにもかかわらず、カナダがAIIBへの参加を踏み切ったのは戦略というよりは、圧力によるものだろう。

自国の主要輸出作物を封じられ、不動産も買い漁られたカナダは、これらの条件緩和を交換条件に取り込まれた。

中国はAIIB構想に置いてシルクロード経済圏の樹立を謳っている。では次の図を見て、皆さんはどのような印象を受けるだろうか。

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出典:http://fumiki.travel.coocan.jp/silk/silkroad1.html

アジアのインフラ開発を標榜するのなら、わざわざローマまで続くシルクロードなどという表現は使わず、中東、アフリカ地域といえば良い。ではなぜ、あえてこのような表現をするのか。

シルクロードにはアメリカ大陸を除く、アフリカ、中東、ヨーロッパまでもが含まれる。つまりは、これは米国へのメッセージであり、”我々は米国とは協調路線を取らない”というメッセージだ。

また、中国は2015年に中国人民元がSDRに定められた。SDRとは国際通貨の一種であり、デフォルトした国などが、外貨準備を持ち合わせていない場合、SDR通貨を代用し、米ドルなどと交換することができる。

まずこれを、パスした中国は次に、人民元を世界基準通貨にしようとG-20などで動きを見せるかもしれない。

この動きは米国にとって脅威であり、様々な国が中国と協調路線を見せている。

他国が中国に対する印象は様々。中国が世界のリーダーにふさわしいかどうかは疑問だが、その国家規模は各国も無視できなくなってきている。

中国と米国の競り合いに他の国が参加を余儀なくされ、そして、これまでの米国一極型の世界が終わりを告げ、次のステージに向かおうとしている。

これに沿い、日米の孤独化は進み続けている。そしてどこまで米国と付き合っていくのか。その様は腐敗が感染拡大する果実のよう。

この世界潮流に対し、依然として動かない我が国にはすでに主権は失われている。

   

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