天然ガスをめぐって荒れる欧州

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出典:RT.com

現在、欧州諸国では天然ガス供給をめぐって熾烈な思惑が駆け巡っている。

欧州各国がロシアへのエネルギー依存を余儀なくされている中、プーチン氏の動向に注目が集まっている。

また、このガス問題をめぐって各国が激しい戦略を展開し、EUや米国までもがその動向に影響を強めている。

果たしてガス供給をめぐる問題は今後どのような展開を見せていくのか。

G20でのエルドアンとプーチンの接近

先日、中国の杭州で開かれたG20サミットでウラジーミル・プーチン大統領 (ロシア)とレジェップ・タイイップ・エルドアン首相 (トルコ)両名が会談した。

RIAノーボスチ通信社によれば、会見は和やかな雰囲気でシリア問題と中断しているパイプライン建設問題について触れた。

両国は2015年に起きたロシアSu-24航空機爆撃事件から、関係性が悪化していた。

ロシアはトルコからの農作物に対しての輸入制限をかけていた。これについて規制撤廃をするか否かの名言は避けたが、前向きに考えていきたい。また、両国関係の信頼回復にも努めていきたいと語った。

また、ロシア外交官ドミトリー・ペスコフは現在、欧州各国はこのエネルギー問題に非常に注目しており。各国への供給はロスネフチによって実現されると述べた。

ロスネフチはロシア最大の国営石油企業である。

また、メドヴェージェフ首相は今年6月にトルコへの旅行規制を撤廃している。

ガスパイプライン問題

サウスストリーム・パイプライン

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出典:Wikipedia

ロシアは2013年よりギリシャ、イタリア、オーストリアを含む欧州へサウス・ストリームと呼ばれる、ガスパイプライン建設を行っていた。

ロシアは過去ウクライナとの国営ガス企業同士の衝突により隣国ウクライナを経由しての欧州へのガス供給を避け、黒海を経由した独自のルート建設をし、各国への供給を目指していた。

2007年からブルガリア、セルビア、ハンガリーなどと、ガスパイプライン敷設に関する合意交渉を行ってきており、着々と計画は進行していた。

しかし、EUからの圧力に屈したブルガリガ突如、パイプライン建設ルートとしての受け入れを拒否。

これによりパイプライン建設計画は頓挫した。

計画が成功していれば630億m3ものガス供給が可能という概算であった。

これにより方向転換を余儀なくされたロシアはブルガリアルートを断念し、トルコを経由したルートへの方向転換を決定し、また、この再建計画が成立した場合、トルコへはガス供給価格を6%割り引く予定であり、ガス供給先に関しても中国、トルコを柱に据えるとしている。

これはEUに対して明らかな不快感を持ったための決定だ。

またこの計画中止による損害は4660億円にも上ると見られている。建設の他にそれに伴う、あらゆる企業が損害を受け、その中には日本企業も含まれている。

ナブッコ・パイプライン

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出典:Wikipedia

急遽ロシアと接近したトルコだったが、トルコも2002年からナブッコ・パイプラインと呼ばれるガスパイプラインを計画していた。

計画は年間310億m3の天然ガスをルーマニア、ブルガリア、オーストリア等に供給する予定であった。

この計画はEUと米国主導のもと開発が進められてきていた。

ガスの供給先と供給元はどちらもロシアを避ける予定だったが、明確なガス供給元を中東に求められずにいたため計画そのものの実現可能性については疑問の声が上がっていた。

このような状況であったために、ロシアのトルコへのパイプラインの方向転換を受け入れ、両国は接近していくこととなる。

米国とEUの動向

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出典:www.eia.gov「米国政府公式エネルギー統計」

米国のLNG・天然ガス依存は2009-2013年の段階で世界2位の輸入依存であった。しかし、掘削技術の向上によりシェールガス供給を可能とした米国は一気に純天然資源輸出国へ転じようとしている。
2019年にはLNG輸出を6万トンまで上げる計画だという。

上の画像は米国政府の公式エネルギー輸出入の統計であるが、これだけシェールガス天然資源を保有すると豪語している割にはエネルギー輸入量が高くないだろうか。

EUはガス供給市場の競合国である、ウクライナの領土保全や経済、政治の発展を固く約束し、ロシアに対する締め付けを強めている。

また、米国もEUの動きに協調姿勢をとっている。

主な経済制裁の内容

大多数のロシア国有金融機関や企業のEU資本市場への参加制限
武器の輸出入の制限
軍事目的、またはエンドユーザーのための武器輸出禁止
ロシアによるガス探査などのために使用される技術やサービスのアクセス削減

まとめ

1点目の疑問として、ナブッコ・パイプラインを主導したのがなぜ、トルコでなく米国とEUなのか。

2点目、EUはなぜこれほどまでウクライナに対して過度に協力をするのであろうか。

最後に、天然資源を保有する(シェールガス)と豪語する米国がのガス輸入がこれほどまで高いのはなぜか。

ナブッコ・パイプラインの建設はガス資源国であるロシアへのエネルギー資源依存を脱却し、ロシアのヨーロッパでの孤立化を狙う米国とEUの思惑が見てとれる。1極集中型の世界を嫌うロシアに対して、米国やEUがロシア以外からガス資源を供給したいのは明らかだ。

なぜなら、ロシアはこのガス資源という武器を利用した外交戦略が可能であるからだ。

逆を言えば、ガス資源依存さえなくせば、ロシアにいいように出られない側面もあるため、この問題が単なる資源問題でないことが見えてくる。

また、ウクライナに肩入れするEUの思惑は上記で示した理由とロシアのガス供給の拡大を妨害したい意図が見てとれる。ウクライナを経由しての欧州諸国へのガス供給を防いだために、ロシアが黒海を経由する供給法を行ったことは、当初のEUや米国からすると予想外だっただろう。

米国がEUに対してどれだけの権限を持つかは不明だが、協力関係であるのは事実だ。

米国のシェールガス資源は真実か、単なる外交上の脅しの道具なのか。どちらにせよエネルギー省データを見る限りは、6万トンものシェールガス輸出を考えているのであれば、米国が輸入問題に関してこれだけ神経質にならなくても良いのではないか。

果たして、天然資源をめぐる問題は今後どのような方向を見せていくのか。

   

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