【エジプト】沈んだボートから162名の遺体回収

深刻な経済危機からアフリカ諸国で相次いで密入国や移住を行うものが増加している中、エジプト人を乗せた密輸船が地中海で転覆した。

エジプト当局は現在、同国人162名の遺体を回収しており死亡者数はさらに増加する事が予測されている。

地中海沖で転覆した移民船

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出典:HOUSTON CHRONICLE

9月23日の金曜日にエジプト政府当局は162名の遺体を沈没した移民船から回収したと発表。また、死亡者数は300人近くに増えることが予測され、彼らを移送した関係者はエジプトの人々へ強まる経済的逼迫とヨーロッパへ向かう移民者たちの出発地をなるべくリビアから遠ざけていることについて語った。

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出典:travel-good-in-egypt

21日の水曜日に沈没したボートはアレクサンドリアの東に位置するナイル湾のロゼッタ沖で発見された。目撃者によれば乗組員は450名乗船していたという。

警察の声明では、ボートには10代後半と20代前半の若いエジプトの男性が乗っており、これまでに死亡者数とほぼ同じ163名を助け出したと伝えている。

警察関係者タレク・アティーヤ氏は今回の1件が大惨事であること、労働欲のあった若者が乗船していたことを語り、また移民者密輸に関係していたとして4名の男性を逮捕したことを加えた。

国際移住機関によればリスクを犯してヨーロッパに向かうエジプト人の人数はここ2年間で急激に増加しているとされる。

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出典:UNITED NATIONS RADIO

同機関のジョエル・ミルマンは移住者増加によりエジプト当局がこれまでより対応に追われていることを述べた。

公式統計ではエジプト人の3分の1が就職できず、貧窮した過酷な生活を送っている。

ホスニー・ムバラク政権が終了した2011年以来、国家経済は国内の混乱に苦しみ続けており、エジプトの観光業はままならなくなってしまっている。

すでにエジプトの経済危機は貧困層にとって、国内に留まるよりもリスクを押してでもヨーロッパへ向かう程に至っており、ミルマンは多くの移民者が利用してきたリビアからの密入国ルートは行き詰まりを見せており、移住者の中にはエジプトからのルートを模索している者もいると述べる。

また、すでにリビアでの移住者の運送はフル稼動状態であり、移送用ボート数が減少しているにもかかわらず、彼らが昨年15万人が移住した水準で移住を繰り返しているため限界がきており、移住元がリビアからエジプトへ移行していると同氏は述べている。

国連難民機関は地中海を渡り移住を図ったため、エジプト当局にアフリカ諸国で逮捕されている者が4600人以上に上るとされ、これは2015年度と比較して28%も上昇している。

今年に入り、あらゆる国から地中海を渡り亡命を試みた人数は30万人以上と見られ、うち約3500人が死亡や行方不明であったことが報告されている。

ムバラク政権崩壊後

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出典:ALJAXEERA.com

2000年以降エジプトはムバラク政権のもと年々5%前後も順調に経済成長を遂げてきたが、それに伴い若年僧の失業率の悪化や物価高が顕著に見え始め貧困層の生活困窮が目立ち始めた。

度々大規模なムバラク政権に対する抗議デモが行われ”アラブの春”で知られる革命の一つとしてムバラク大統領を辞任に追いやった。

しかし、2011年のムバラク政権崩壊以降、エジプト経済は冷え込み、その後のムルシー政権下でも国民によるデモ抗議活動は止まずムルシー政権は短命に終わった。

アラブの春以降、不安定化したエジプト経済は2011年12月に36億ドルあった外貨準備高は2012年7月には14.4億ドルにまで減少し、その後のアッ=シーシ政権はサウジアラビアやクウェートなどへ経済依存を強め、各国はエジプトへ12億円を拠出。

その後もサウジアラビアはエジプトの政治・経済危機脱却のためサポートを続け2015年の折、5年間で8億ドルの経済援助を行うことを約束した。

またこれに伴いサウジアラビアと近隣諸国はエジプトに対しFDIを約束することを求め、年度ごとに貸付金の返済を義務付けられた。そしてエジプトの5%の経済成長に伴い毎年10億ドル直接投資金を受け取ることとなった。

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出典:Geop Litical Monitor

`また、今年4月7日にはサウジアラビア国王サルマンがさらなる追加で16億ドルの経済支援を表明しており、その際サルマンはエジプトとサウジアラビアの間で紅海上に2国間をつなぐ橋の開発を示唆する会談を行った。

エジプトは現在、石油の供給量が弱まり需要は増加しており、経済は非常に逼迫傾向にある。
23億ドルの資金援助はエジプトに40万トンの軽油とベンゼン20万トン、マズートと呼ばれる10万の低品質燃油を供給する。エジプトは2%の利子付きでこの資金を返済していかなければならない。

まとめ

2011年のアラブの春で注目されたアラブ諸国での革命運動がアラブ諸国にもたらしたのは飢餓と経済危機であった。

その損害は年々、確実に肥大化し国家から亡命を試みる国民の増加が顕著になってきている。命の危険を犯してまで亡命する国民からいかにアラブ諸国の経済危機が深刻か伺い知れる。

経済破綻を免れるために遂に周辺国への助けを求めたエジプトは貸付金の支払いに追われ、自国の資源も枯渇し始めている。

これまでの経済成長の5%というのが見栄えよく感じるが、その内実は原油資源に守られてきたため、産業発展に力を入れてこなかったエジプト。

そしてついにその頼みの綱も減少傾向にあり、イエメン紛争への介入に関してもその選択権はなく。戦争ビジネスに巻き込まれている。

資源で食いつなぐ周辺諸国においても資源供給が一気に減少することも考えられ、不安定な中東諸国がさらに逼迫していくことは十分に考えられる。

それに伴う移民の増加は不可避であろう。

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